とあるパチンコ店員と幼い姉妹の話

今晩は幸チャレPです。

ちょっと昔の思い出話何かを書こうかな~と思います。

もうかれこれ10年以上前のお話なんですが、私がまだ派手なシャツに蝶ネクタイというピエロみたいな制服を着て下積みを積んでいたハタチそこそこの時代の話です。

当時は子供の入場に規制が無かったんですよね。

店内には子供連れのお客様が数多くいらっしゃっていました。特に土日なんて休憩スペースで「かごめかごめ」が始まるぐらい沢山のお子様が来店されてました。

その行為が良いか悪いかという話では無いのですが、色々な事件が有り規制されていく事になります。

しかしそれはまた別のお話

これはそんな時代にホールで出会った幼い姉妹と自分を重ねて少しセンチメンタルになってしまった名も無き一般ホール店員の思い出です。

有る日私はいつもと変わらずにホールでお仕事をしておりました。すると入口から幼い姉妹がお店に入店して来るのが見えたんです。お姉ちゃんは小学生低学年ぐらいでしょうか?妹の方は恐らく4~5歳ぐらいでお姉ちゃんの手をしっかり握って不安そうな顔を浮かべていたのが印象に残っています。

そこで私は違和感を覚えます。

お店に来るお子様というのは大体親御さんと一緒で、その子供達の親は誰なのか?それはほぼ把握しているからです。

見た事の無いお子様が店内に単独で入場してくる

この時点でお店側からするとおかしな出来事なんですよね。

案の定その姉妹は店内をうろうろと、何かを探して歩いてました。

最初は親を探してるのかな?とも思ったのですが、どうもそうには見えないんです。その場合人を探すはずなのにその姉妹は両替機等の設備をジロジロ見て回っていたからです。

その内困った顔をしている事に気がついたので声をかける事にしました。

「何か探し物かな?」

そのお姉ちゃんの視線の位置まで腰を落として聞いてみました。

すると少し不安そうな顔をし、妹と手を繋いだままポケットからコンビニで貰うような小さな袋を取り出して私に見せてくれました。そしてその中には数十枚のメダル(当時勤めていたそのお店の物)

その時点で私は全てを察してしまったんですよね。

私も幼少期に全く同じ経験が有ったからです。

それは私がまだ小学生低学年ぐらいの頃、父からメダルを渡されて「○○ってパチンコ店い行ってタバコを取って来い」と頼まれる事が有ったからなのです。

もう随分前に亡くなっているので父を責める気は無いです。しかしパチンコ店のメダルとはあくまでお店側からお客様へ貸し出している物で、店外への持ち出しは禁止されております。なので行為自体がよろしくない訳です。

私が交換して貰っていたホールでも怖いパンチパーマのおじさんが居る時は避けて、優しいおばちゃん店員さんがカウンターに居る時間を見計らっていました。

ただ今でも覚えているのが

子供心に本当に嫌で仕方が無かったという事です。

そんな私の子供心にトラウマ的な行為をまさに今目の前の幼い少女が行おうとしている訳です。

本来ならお断りしなければいけません。

決してその子が将来絶対美人になるだろうという美少女だったからという訳でも、着ているボロボロのトレーナーにタバコによる焼け穴が有ったからという訳では無いのですが、過去の自分と重ねてしまってセンチな気分になっているこの店員にそんな事が出来るはずありません。

ならばどうにかして交換してあげよう。

悪い事とはわかっていながらその為に行動を開始します。

まずはカウンターのスタッフに声をかけます。

「ちょっと早いですけど僕がカウンター入りますのでゆっくり休憩して下さい、お客様もあまりいないので長めに休憩取って貰って構いませんよ」

常時ニコチン不足といった感じのそのスタッフは当然喜んで休憩に入ります。その隙に素早くメダルを流してカウンターのPOSを操作、そのお姉ちゃんに

「何をとってくるように言われたの?」

と聞いてみます。

なんの因果かそれは私の父と同じ「ハイライト」でした。

タバコを取ると僅かですが余りとなる端玉が出るので

「余りでお菓子が取れるよ」

とお姉ちゃんに伝えると、案の定自分では選ばず妹にどれが欲しい?と聞いていました。

いままでずっと不安そうな顔をしてお姉ちゃんの手を握っていた幼い妹が初めて嬉しそうな顔をして

「これがいい!」

そう笑顔で指差したのはとても端玉では取れないお菓子の詰め合わせセットでした。

お姉ちゃんはその表示玉数を見て端玉では取れない事を理解したのか悲しそうな顔をして妹に説明しようとします。

しかしもう完全涙目になりかけていたその若い店員は当然のごとくそのお菓子セットと端玉のお菓子をいくつかを袋に詰めてその姉妹に手渡します。

はいそうです。

犯罪です。業務上横領になるのでしょうか?

しかしもう十年以上前の事、時効だから良い!とは言わないのでどうか大目に見て下さい

そしてそのお菓子を手渡す際にお姉ちゃんにこう伝えます。

「帰ったらお父さんかお母さんに伝えて貰えるかな?○○(私の名前)って店員さんに凄く怒られたって」

それと同時に次に来ても景品と交換する事は出来ない事、次からは親御さん本人に来て貰うようにも伝えました。

そうする事で子供に嫌な思いをさせてしまったと反省してくれるのでは無いか?そして問題になっても文句を言いにくる際には私を名指ししてくるだろうという思惑があったからです。

最後にそのお姉ちゃんはまるで大人のように深々とお辞儀をして帰って行きました。

勿論最後まで妹の手を離す事は有りませんでした。

私はその後ろ姿を見送りながら

「もう来ないで欲しい」と願わずにはいられませんでした。

その思いが通じたのかその後その姉妹がお店に来る事は有りませんでした。もしかしたら両親が怒ってパチンコするお店を変えてしまい、別のお店で同じ事が繰り返されている可能性も否定出来ませんが…

それでもきっとその仲の良い姉妹はしっかり手を繋いで強く生きていると私は信じています。

………
……

何となく長々と書ききってしまいました。

これはあくまで思い出話なので、これといったオチは無いのですが、この後この姉妹はまだ幸せだったと思える一人の少女と出会う事になります。

その話も機会が有れば書こうと思います。

最後までお読み頂きありがとうございました!